第3回日伯文化環境研究会

都市・地域・自然システムの寿命

2018年3月 13 日~15 日

共催:
京都大学研究連携基盤学知創成ユニット
日ASEANグローカル情報ネットワーク
京都大学研究連携基盤グローバル生存基盤展開ユニット
京都大学大学院総合生存学館

概要

「森林が農地に変わるのはいつか? 都市や農村はいつ現れ消えるのか? いつ森林は回復するのか?」

本研究会では、都市、農村、自然のシステムにおける継続性と衰退の問題に焦点を当てます。多様なシステムの存続期間は、様々なレベルで発生する動的な相互作用に依存しています。システムの動的な相互作用を理解しようとする理論家は、人間の居住地の存続期間──都市の拡張と縮小──について論じるなかで、生態学的な循環と進化モデルの類推を用いて人の居住地の存続期間を解釈しています。その最も初期の者は、都市の居住適合性と周辺の地域とを結びつけた生物学者パトリック・ゲデスでした。ゲデスは学問分野の境界を超えて生物学的概念を社会理論に統合し、「地域調査(regional survey)」を提唱しました。続いて、アメリカの都市の盛衰に関する学際的調査に従事したジェーン・ジェイコブスや、都市化の自然史を研究したルイス・マンフォード、ネットワークを通じた都市のあり方を探究したクリストファー・アレクサンダーらが現れました。日本では社会学者の奥井復太郎が、戦前より、生命論を都市の形成に結びつけ始めました。今日では、環境問題の増加と農村部の過疎化と並行して、都市部の集中が着実に増加しています。都市化は種としての人間の進化の必然的な結果であるかについて早急に議論する必要があります。より豊かな生活に向けて絶え間なく知識を蓄積し、技術を創造しようとする人間の特性を見れば、都市集中の傾向はおそらく続くでしょう。このような結果と可能な代替案について、私たちは深く顧みる必要があります。

本研究会では、都市化と開発が自然環境にどのように影響するかに関する議論を歓迎します。さらに、人間と生活パターンとの複雑な相互作用やそれに対する社会と環境の反応、また、比較の視点からブラジルや日本において環境的、空間的、社会的、文化的な移行がどのように解釈され、評価され、対処されているかについての議論も歓迎いたします。

発表

「ブラジル大西洋岸の森林:残存林の占有・死・保護と生物多様性」(英語版)
ネリ・デ・メロ・テヒ(サンパウロ大学芸術科学人文科学研究科)

「変容する地球システム:人新世の視点から見た人類と地質の多様性」(英語版)
ヒカルド・フラガ(バイーア連邦大学地球科学研究所)

「アマゾンにおける人間による占有の期間:人の存在と景観の変化を再考する」。(英語版) 
アンヌ・ハップ(西パラー連邦大学社会の科学研究所)
クライデ・モラエス(西パラー連邦大学・社会の科学研究所)

「ブラジルの都市の寿命」(英語版)
エルヴェ・テヒ(サンパウロ大学・芸術科学人文科学研究科/フランス国立科学研究センター・米州研究研究所)

「中規模都市における中心地、中心性、消費」(英語版))
エリゼウ・スポジト(サンパウロ州立大学理工学地球科学研究所)

「徳島県山間部の伝統的急斜面農法」(英語版)
萩原八郎(四国大学経営情報学部)

「水面の持続可能な利用と河川・湖沼流域における未処理排水の影響に関する都市間の比較調査」
山敷庸亮(京都大学大学院総合生存学館)

「アジア都市におけるクリーンエネルギー開発の多面的な便益の評価」(英語版)
フゥマン・ファルザネ(京都大学エネルギ理工学研究所)

「ブラジル大都市の自然地域:大都市圏における農村と都市の不協和と相互作用」(英語版)
ホベルタ・フォンタン(京都大学東南アジア地域研究研究所)

プログラム(英語版)